ADSL移行(1.5M→8M)顛末記


おやじ宅は、まだ導入ユーザが2万人程度だった2001年2月(2002.01では、既に180万人)からADSL(1.5M)を導入していましたが、自宅にサーバを設置したことと、1.5Mと8Mの価格差が300円と大差なくなったため8Mへの移行を決行しました。2001年11月に移行申し込みをするも、一向に音沙汰なく、新規申し込み優先になっていることは企業論理から当然と思っていましたが、11月以降の申し込み者は1月中旬に開通とのアナウンスがあったのですが、当日になって局の設備がないため、3月31日になるとの突然のメールがきました。まあ、ひたすら待つしかないかと思っていたところ、これまた突然2月23日に8M用のADSLモデムが宅急便で届き、併せて、3月1日に8Mに移行する旨のメールがきました。待ちに待った3月1日に8Mに変わりましたが、さてその結末は・・・。

■移行の背景

1.5Mサービスの上りのリンク速度は最大512Kbpsだが、8Mはこれが最大1Mbpsになる可能性がある。自宅にサーバを設置したため、上りの増速は是非したいところ。下りは、もともと1.4Mbps前後(開通当初は、1.5Mでフルリンクしていたが、その後減少)で接続できていたので、あまり不満はなかったが、早いに越したことはないのでほのかな期待を持って申し込み。
ADSLは、元々音声(3.4Kbps以下)を通すために設置したメタリックケーブルに、AM放送の周波数と同じである1M超の信号を通すことにより、高速なインターネット環境を提供している。つまりかなり無理をした通信サービスとも言え、現に、8Mに移行して、1.5Mより速度が下がったり、頻繁に回線が切れるといったトラブルが発生している。
おやじは、仕事柄、問題が発生したときにはノイズフィルタを入れたり、アースをとったりと、いろいろ対策をする自信があること、最悪は、今までの1.5Mモデムに戻せば、元の1.5Mサービスと同じになること(局設備は変わるが)や、8Mモデムも強制的に1.5Mモデムに設定できること知ってのうえで、切り替えに踏み切った。

■移行結果

リンク速度は、
  ・上り:  736Kbps〜 768Kbps
  ・下り: 1632Kbps〜1696Kbps
と、ばらつき、768Kbpsや1696kbpsでリンクすると時々切れることがある。1.5Mの時、初期はフルリンクしており、その後も若干速度が低下したが切れることもなかったので期待していたが、さほどではなかった。
おやじは、自宅にサーバを設置しているため回線が切れるというのが何よりも問題である。特に、8Mサービスでは、回線が切れるとIPアドレスが必ず変わってしまうようになってしまった。これは、メールサーバを運用する上では非常に問題である。DDNSに反映されるまで、メールが行方不明になってしまうことがあるからである。1.5Mの時は、工事以外で切れることはなかったし、おやじの都合で切ってもIPアドレスが変わることはなかった。局の設備が変わったためと思われるが、何とかしてほしいものである。

■対 策

上り帯域は、目標どおり5割増になっているので、この状況を確保しつつ安定化させることが第一と考えているが、まだ、開通して間がないこと、時間がないことから、取り合えず1.5Mのスプリッタと8Mスプリッタの併用と、手持ちのフェライトコアを各ライン(電源線、電話回線、スプリッタから電話機の間、LANケーブル)に入れ様子をみている状況である。とりあえず、開通当初発生していた1時間ごとの切断はなくなったが、まだ切断されることがある。今後、徐々に改善していくつもりであり、その結果をまとめる予定である。

■8Mサービスの考察

おやじは、e-AccessのADSLサービスを利用しているが、ADSLモデムはレンタル品で住友電工製のTE4121Cという製品である。このモデムは、以下のURLをブラウザで開くと回線のトーン情報を見ることができる。


 トーン情報とは、ADSL信号の伝送状態をグラフで表したものである。(詳細はこちらを参照)
 NTTからの距離も近く、ノイズの影響をほとんど受けていない理想的なグラフは、以下のようにFEXTとNEXTがほぼ同じ形で、頂上が平坦な丘のようになる。



理想的なグラフ(図をクリックすると拡大)


 これに対して、おやじ宅で取得してみたトーン情報を見て愕然とした。



おやじ宅のグラフ(図をクリックすると拡大)


 このグラフからわかるのは、次の3点である。

1. 外来ノイズ、特にAM放送の影響はない。

 8Mサービスでは、AM放送と同じ帯域を使用しているためその影響が問題になっているが、おやじ宅は全く影響を受けていない。おやじ宅は、埋立地に造られた3000世帯を超える大規模マンション街にあり、この街に電柱は全くない。これだけの世帯分のケーブルは電柱設置は不可能なため、NTTからのケーブルは全て地下埋設になっているはずであり、外来ノイズを受けにくい環境にある。現によく見られるNHK第一(137番)、NHK第二(161番)の落ち込みがない。

2. ISDNの強い干渉を受けている(ISDNの干渉についてはこちら

 FEXTが若干デコボコしたり、ビット数が少なくなっているが、全域に渡ってサブキャリアがあるのに対して、NEXTの下りのサブキャリアは136番から154番に少しあるだけでほとんどない他、ビット数も非常に少ない。これは何を意味しているのか?これは、典型的なISDNによる干渉と思われる。日本のISDNは2.5msの間に上りと下りを交互に伝送するピンポン伝送方式を採用しているため、FEXTとNEXTが1.25msごとに切り替わる。NEXTだけキャリアがほとんどないということは、非常に強いISDNの干渉を受け、家庭側のISDN端末が送信する周期では、ほとんど送信できない状態になっていることを意味している。90番から135番まで全くサブキャリアがないが、ISDNの弱い干渉ならこの領域は軽い谷になるだけですむはずである。
 現在、ISP経由で回線調査を依頼しているが、仮に隣接カッドにISDNが収容されていた場合、大いに悩むことになるだろう。何しろ収容替えには、
  ○回線調整基本工事費:13,000円(工事を行なう場合必ず必要)
  ○回線調整(収容替):9,000円(1工事につきの料金)
の、計22,000円もかかるので、収容替えの結果が良ければいいが、駄目だった場合のことを考えると躊躇せざるを得ない。また、使用しているケーブルに依存していることも考えられる。距離の大半を占めるNTTからマンションのMDFまでは、新しい街なので恐らくPECケーブルといわれるNTT仕様のツイスト(カッド)ケーブルが使われているはずである。ここで干渉しているのであれば、FEXT側にも同様の傾向が現れるが、ほとんど影響を受けている様子はない。従って、おやじ宅は、MDFから建物内での干渉が大いに考えられる。ここに、撚り(ツイスト)が浅いケーブルか、家庭内でよく使われている単線の平行ケーブルが使用されているのではないかと思われる。こんなケーブルでは、上下階でISDNを利用していたらひとたまりもない。自分ではどうしようもないため、あきらめるしかない・・・・・・(>_<)。
 一方、義兄のところのトーン情報は、まさにNTTまでのケーブルで干渉している例と思われる。義兄宅は一戸建てであり、NTTまでの距離も道なりで1.6Kmと近いが、ISDNとAM放送の影響をもろに受けており、思ったほど速度が出ていない典型的なグラフである。



義兄宅のグラフ(図をクリックすると拡大)

3. 帯域調整されている

 高域は、NTTまでの距離が長いケーブルのロスにより減少するのは止むを得ないが、178番から255番サブキャリアまでの高域が全くない。帯域調整していなければ、デコボコすることはあっても、全く無いということは考えられない。既に開通時に帯域を調整されているようだ。現状でも、何も対策しないと回線がかなりの頻度で切れるので、ぎりぎりのところに調整した結果と思われる。下りは33番から255番までなので、約3割のキャリアは使えないことになる。帯域にして約3Mbps弱は既に使えないとは、残念・・・・。

 おやじ宅は、道なりで2.4Kmとロスに関してはあまり環境はよくないが、収容替えを行いマンション内の配線さえしっかりしていれば、帯域調整をやめれられ、e-Accessの実験結果からすると、恐らく倍以上の速度(3〜4Mbps)で接続できると思われる。とりあえずマンションのMDFのところで、是非接続してみたいものである。


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